=凪=
しばし、無言の時間が流れた。



「せ、先輩……?」


沈黙をやぶったのは、私だった。



「いや、俺がこんなこと、聞くのは、やっぱ変だよな……」



あたふたと、取り繕う先輩の姿をみて、静かに俯いた……



「わたし・・」



そう切りだし、一度、拳に力を込める。



「私、今はそういうことを、考えられなくて……」



小さな声、しかし精一杯の力強さで、そう答えた。



「だよな」



「…………!!」



その言葉に、顔をあげ、先輩を見た。



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