完璧日本男児
ま、そんなわけで1週間一人です。
最初のうちは、料理なんて出来ないものだから、
トースターでパンとか、コンビニ弁当で凌いでたけど、


いい加減に飽きてきたから早く帰ってきて、お母さん。



お父さんが韓国の外務大臣と握手しているのを見届けて、
私は、トーストと目玉焼きを作ろうとして失敗した、
不恰好なスクランブルエッグを胃の中にコーヒーと共に放り込んだ。

皿を洗面台のところに置いておく。
ちなみに私は家事は一切しない。
別にしなくても、平気だからだ。

ちなみに家政婦さんは雇っていない。
だけど、どうせ今日家庭教師の茂田(しげた)さんが来るから、
片付けてくれることだろう。



うん、やっぱり家庭教師っていいよね。



時給2500円も払っているのだから、
交通費全額支給+食費という名のまかない付き。
家庭教師というバイトにしてはすごくいい待遇のはず。
だからといって上から目線なわけじゃないけどね。

だって、所詮私は中学3年生の子供であって、
まだ義務教育も終えていない、何も知らない井の中の蛙。
とはいえ、あとそれも半年で終わる。

今日が終業式。
外では蝉が鳴り響く。
中学最後の夏休み。
塾や受験勉強だけで終わらせたくない。

だって、15歳の私は帰って来ない。
15歳の夏は一度しかない。
勉強も大切だけど、
やっぱり女として生まれたからには、しなきゃだめでしょ。



命短し、恋せよ乙女ってね!
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