ブラッディ アリス
二人が目指すのは、隣国タウルス。
そこに集まるのは、「十二大国」と呼ばれる…十二の国家それぞれに君臨する貴族界代表者たち…。
貴族界最高機関『ゾディアック』。
彼らは三ヶ月に一度、会合を開く。
「はぁ…。…できることなら…アンディビッヒに会いたくない…」
道中、アリスは少し憂鬱そうに呟いた。
車は隣町のコフを抜け、途中の高速道路に乗る。
その間アリスは書類を見直し、明日に控えた会議の予想を立てていた。
「…今回の処刑の件が…やっぱり主旨になるわね…」
アリスはそう言うと、運転中のラビをじっと見つめる。
「ん?なに?」
ラビは横目でアリスを見ると、すぐさま目線を前に戻し、尋ねた。
「……ごめんなさい…。今回の…。…ジャックは…あなたの…」
アリスは少し躊躇った様子で、そう言いかける。
「ふ…。言っただろ?彼とは『ただの従者仲間』だよ。…だいたい…真実なんて言える…?」
ラビはニヤリと笑ってアリスに問いかける。
「…死んだって…真実なんか絶対言わないわ」
アリスはそう答えると、また書類に目を向けた。