ブラッディ アリス


カルサは必死に呼吸を整えている。

そんなカルサの背中を撫でながら、ミカエルは尋ねた。

「どこにいたんだよ?」

「…ごめん…。一人で先に来たのはいいけど…案の定迷っちゃって…」

女の子のように可愛らしいカルサの顔は、照れくさそうに笑みを浮かべる。

「…まったく…。心配かけないでくださいませ…」

アリスは「ふぅ」と一息つくと、一人で歩き始めた。


「あ…!アリス…!ちょっと待って…」

突然、焦ったようにアリスを引き止めるカルサ。

「…なんですの…?」

足を止めたアリスはゆっくりと振り返る。

「…ご…ごめん…。実は…アリスに相談したいことがあって…」

カルサは少し遠慮がちにそう言いながら、にわかに瞳を潤ませている。


「……相談?…それは、深刻な内容ですの?」

「…う…うん…。今…サジタリウスで問題になってる…」


居た堪れない様子のカルサに何かを感じたアリスは、「仕方ない」という表情でカルサに近づいた。


「…わかりましたわ。…VIPルームを一部屋とりましょう…」




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