ブラッディ アリス
「…こんなに人が多いと、さすがに困難ね…」
しばらく歩いた後、アリスは少し疲れた様子で一旦立ち止まった。
「当たり前だろ…。定例会だから…ケータイも執事に預けっぱなしだしな…」
アリスの横でミカエルが呟きながら辺りを見回す。
二人の周りに並ぶのは、たくさんのスロット台…。
人々のざわめきとスロットのにぎやかな雑音が、激しく二人の耳に攻め入る。
「案外…私たちの近くにいたんじゃないかしら?」
「え?」
真顔で言ったアリスの言葉に、不思議そうな顔をするミカエル。
「だって…あのカルサよ?こんな奥まで…一人では来ないでしょう?」
「…まぁ…。…じゃあ、戻る?」
「…そうね…」
アリスはそう言って、来た道を戻ろうと振り返る。
その瞬間…どこかで嗅いだことのある匂いが、アリスの鼻をついた。
「…?!」
「…あ!カルサ!」
二人が振り返ると、すぐ後ろに立っていたのは息を荒立たせたカルサ…。
「やっと…追いついた…。二人を見つけて…慌てて追いかけたんだ…」