ブラッディ アリス
「キオネ様…」
ラビはキオネの手にそっと触れた。
キオネが引き留めた理由はカイルにいてほしいからだろう。
それと同時にラビの登場。
キオネの昔からの面食いを知っているアリスは、ニヤリと笑う。
「ラビ…僕にも王族として処刑を見届けたいという意志がある。それにミス・キオネのそばにいてやりたいんだ…」
カイルも計画通りの役を演じる。
「…カイル王子…。あなたは妃がいる身であります。それをよくご理解の上で…ですか?」
ラビが少し厳しい眼差しでカイルを見る…。
カイルは大きく頷いた。
「アリス様も…」
「私も幼なじみのキオネについててあげたいの。ラビなら…わかってくれるでしょう?」
ラビは「ふっ」と笑って優しい顔でキオネを見つめた。
「…申し訳ございません…キオネ様。今夜はご厄介にならせていただきます」
「…何も気になさらないで!嬉しいですわ!それではさっそく夕食の支度をするよう申しつけてまいります!」
そう言うとキオネは嬉しそうに部屋を出て行った。