ブラッディ アリス
しばらく三人は沈黙し、その場には重い空気が流れた。
少し気まずそうな顔をするアリスとカイル…。
今までラビ抜きで事を進めてきたことがなかったからだ。
つまり「仲間外れ」。
この初めての状況に二人は戸惑う。
「…べつに怒ってないよ。アリス」
先に口を開いたラビは、テーブルの上に用意されていた紅茶を飲み干した。
「…な…なんでわかったのよ…?ここにいるって…」
アリスは恐る恐るラビに近づく。
するとラビはアリスの細い手首を掴み、笑顔で言った。
「愛しいアリスの考えることならすぐわかるよ。明日の処刑のことは知っていたしね…」
「…いたっ…」
手首を掴む力がだんだんと強くなる。
「聞きたいのは僕の方…。大富豪の当主である君が…執事をおいて家から出るのは…どうなのかな?」
「…ラビ…」
自分を見下ろす男の笑顔の裏には、確かに何か怒りがあると…アリスは感じた。
「自覚が足りないよ。アリス様」
ラビはスッと手を離した。
強く掴まれていた腕には、手の跡が赤く残っている…。
「おいっ…ラビ!」
カイルがラビに何かを言おうとしたが、それをアリスはすぐ止めた。
「いいの!何も言わないで…」
「…アリス…」