ブラッディ アリス


ラビがアリスに怒りを見せたのは、これが初めてだった。


「…カイル…とりあえず…キオネを頼むわ…。私はラビに部屋を案内してくるから…」

「………わかったよ」

カイルはアリスの肩をポンポンと軽く叩くと、部屋を出て行った。


「…ラビ…荷物を持ってきてくれたんでしょ?部屋に置きに行くわ」


アリスはラビを用意された部屋へと案内した。

部屋までの間、二人は無言で。


部屋につくとラビは真っ先に窓の外を覗いた。

「…マスコミか…」

「…写真…撮られた?」

アリスは荷物の中身を確認すると、ベッドに座った。

「たぶん…ね」

そう言うと、ラビもアリスの横に座った。

ラビはさっきまでアリスがむしっていた薔薇の花びらを見つけると、それを一枚拾ってアリスの唇にあてた。

「また花びらを口でむしってたの?」

ラビはそう問いかけながらアリスの体をゆっくり倒す。

「…そうよ…」

アリスはラビと目を合わせないように横を向く。

「…怯えてるの?アリス」

ラビは先ほど自分が掴んでいたアリスの手首に口づけをした。

「怯えるわけないでしょ…!」

アリスはラビを睨んで体を起こそうとした。

しかしラビはアリスの体を押さえつける。

「…ラビ?」



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