ブラッディ アリス
Ⅲ
バスを降りた子どもたちは、門の前で待っていたスーツ姿の男性二人によって案内された。
門を潜るとそこは不思議な香りに包まれた広い庭。
色とりどりの花に…可愛く飾られたテーブルやベンチ…。
石畳の道を進んで行くと、外の塀と同じ色をした真っ白で大きな建物が聳え立つ。
その建物がこの『スイーツホーム』の本館…『フロマージュ』という名前らしい。
「皆さん、中に入って。館長が待ってます」
どう見ても施設には似つかわしくないスーツ姿の男性が、慣れた様子で子どもたちを館の中へと誘導していく…。
アリスとカイルはしばらく言葉を交わさず、指示されるがままに最後尾を歩いていた。
館内に入り、赤い絨毯で覆われた廊下を真っ直ぐ進むと、大きな扉に突き当たる。
「さぁ…この部屋に入って。順番に席に着きなさい」
部屋に入ると、廊下と同じく赤い絨毯で覆われており、その上にちょうど全員が座れるほどの数の椅子が並んでいる。
室内の前方は祭壇のような造りになっており、壁には古びた鏡が飾られていた。
「…!」
最後に部屋に入ったアリスは突然…何かに気づき、その場に立ち尽くし動きを止めた。