ブラッディ アリス



バスを降りた子どもたちは、門の前で待っていたスーツ姿の男性二人によって案内された。

門を潜るとそこは不思議な香りに包まれた広い庭。
色とりどりの花に…可愛く飾られたテーブルやベンチ…。

石畳の道を進んで行くと、外の塀と同じ色をした真っ白で大きな建物が聳え立つ。

その建物がこの『スイーツホーム』の本館…『フロマージュ』という名前らしい。


「皆さん、中に入って。館長が待ってます」

どう見ても施設には似つかわしくないスーツ姿の男性が、慣れた様子で子どもたちを館の中へと誘導していく…。


アリスとカイルはしばらく言葉を交わさず、指示されるがままに最後尾を歩いていた。



館内に入り、赤い絨毯で覆われた廊下を真っ直ぐ進むと、大きな扉に突き当たる。

「さぁ…この部屋に入って。順番に席に着きなさい」

部屋に入ると、廊下と同じく赤い絨毯で覆われており、その上にちょうど全員が座れるほどの数の椅子が並んでいる。

室内の前方は祭壇のような造りになっており、壁には古びた鏡が飾られていた。



「…!」

最後に部屋に入ったアリスは突然…何かに気づき、その場に立ち尽くし動きを止めた。






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