ブラッディ アリス
「皆さんにはネームカードを身につけて生活していただきます。ぜひ、お友達をたくさん作ってくださいね」
ラミアは子どもたちに向けてにっこり笑うと、パンパンッと手を叩いた。
その合図を受け、スーツ姿の男性たちが、子どもたちに順番にネームカードとペンを一本ずつ渡していく。
「そこに大きく自分の名前を書いたら…それを首から下げてください」
子どもたちは説明された通りに、ネームカードに自分の名前を書き、カードについている紐に首をとおしていく。
「はい。それじゃ、少しここで待っていてもらえますか?…お友達とお話しても構いませんし、この館内を歩いて見学していても構いません。部屋を出ればトイレもありますし、隣の部屋にはジュースやお菓子を用意しています。…そのかわり…この館から出てはいけません。私は1時間くらいしたら戻ります。その頃には皆さんも、この部屋に戻っていてください」
ラミアは一方的にそう言い放すと、男性二人を連れて、部屋を出て行ってしまった…。
「はぁ…息苦し…」
ラミアが居なくなった瞬間、カイルは腕を組み天井を見上げる。
周りの子どもたちもだんだんと騒ぎ出し、自己紹介をし合ったり、部屋の外へと出て館内の見学をし始めた。
「……僕たちも…行ってみる?」
部屋にいた子どもが全員いなくなると、カイルは黙って前を見たままのアリスに話しかけた。