ブラッディ アリス


「………」

アリスはカイルに返事もせず、立ち上がる。

そして歩き出すと、飾られた鏡の前まで行き、止まった。


廊下からは微かに子どもたちの声が聞こえるだけで、室内は静かに時を刻んで行く…。


ただじっと鏡を見つめるアリス…。

その後ろ姿を不思議そうに見つめるカイル…。


沈黙が続いた…その瞬間、アリスの見つめる鏡から、アリスではない人の顔のようなものがぼんやりと浮かび出した。

「……やっぱり…あなただったのね…」

鏡を見るなり、ため息をつくアリス。

それと同時に席を立ったカイルは、アリスの元に慌てて駆け寄る。

「こ…これは…?」

「…この鏡は…あのシャルル夫人が所有していたラソエラ家の家宝…。真実を伝える『オロバスの鏡』よ…。…5年前盗まれた物が…どうして…?」

アリスは険しい表情を浮かべると、そっと鏡に触れた。


「…お久しぶりです…アリス嬢…。相変わらず見目麗しいお姿…。再びお会いできて光栄でございます…」






< 270 / 657 >

この作品をシェア

pagetop