ブラッディ アリス
「…アリス嬢の頼みならば…仕方ありませんね…」
オロバスは軽くため息をついて、カイルに微笑みかけた。
「ありがとうございますわ」
アリスは少しほっとしたようにカイルを見る。
「…ん?…ああ!決まった人間にしか答えないんだっけ?」
「決まった人間っていうか…本来はラソエラ家の者にしか答えないのよ」
「……あ…そうだっけ…」
カイルは一歩後ずさりすると、鏡に向かって小さく礼をした。
「…で…、ジャックが5年間もずっと…あなたを持ち歩いてたっていうの?」
アリスは話を戻すと、真剣な表情でオロバスを見つめた。
「…いいえ…。私は彼に連れられ、数百年ぶりに母国に帰郷しました…」
鏡の中のオロバスは切ない微笑みをアリスに返す。
「母国ってことは……オフィユクス国ですわね……」