ブラッディ アリス
「オフィユクス?…貴族界を追放された…リリス家が政権を握っているといわれてる闇の国だろ…?」
アリスの一言に驚いた表情を見せるカイル…。
「…そうよ…。王族界からもお払い箱のオフィユクス…。まぁ…王家が生きてるのかも定かじゃないけど…」
うっすらと鏡に映る、眉間にしわをよせた自分と見つめ合うアリス…。
「…つまり…この鏡は黒魔術によって創られたのか?」
カイルがそっと鏡に触れる。
「そう…。この鏡を創った魔術師テラは…オフィユクスの歴史上でも最高位に値すると言われるほどの…黒魔術師だった…」
アリスは切ない表情でカイルの方を向く。
「…ラソエラ家はリリス家の血が混じっているテラの子孫…。だからこの鏡が家宝だったの…」
「…黒魔術師の血…」
カイルは鏡に触れた手をゆっくりと離す。
「…さすが…アベル家当主ですね…。よくご存知で」
アリスの言葉に頷きながら、オロバスは鏡の中で小さな拍手をしていた。