ブラッディ アリス



アリスはもう一度ベッドに横になると、長いため息をついた。



「…わざと掴まったつもりだったんだけど……麻酔薬か何か打たれちゃったみたいね…。最悪だわ…」


「…アンジェラ……どういう…?」

自分の顔を見下ろすロビンに、アリスは微笑む。


「私はアンジェラじゃないわ。…私の名前は、アリス・アベル。…アリエス国貴族界代表。貴族界の『サラマンドラ』であるアベル家38代目当主…。…あなたなら、わかると思うんだけど…」

「…アベル…家………アベル公爵家…ですか…?…」

アリスの言葉に、だんだんと目を見開くロビン。

「…え?あれ?…アリス様はたしか…第二ご息女…、当主はウィン・コスモローズ・アベル様じゃ…」

「…二年前…私の両親は亡くなったわ。…今は私が当主なの…」

「……そんな…」


哀れみと驚きが混ざったような…切ない表情を見せたロビンは、そっとアリスの手に触れる。









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