ブラッディ アリス
「…ふ…。『女公爵』…ね…。…あなたはどこの生まれなの…?」
アリスはクスクスと笑い出す。
「…私は…貧しい小さな国で生まれた…。あなたみたいな、生まれつき裕福な人間になど想像もつかない…地獄のような場所…」
ラミアは悔しそうな表情を浮かべ、アリスの長い金髪をぎゅっと握る。
「……テンフィ…?…ルオルド…キオヅ……それともエナッティかしら?…貧しい国と言えば…まだまだあるわね…。…どこなの?」
「………え?…」
「言っとくけど、ゾディアックに属する世界十二公爵家は、かなりの寄付をしているわ。
…でもやっぱり……物資が行き届いていない場所もあるのでしょうね……」
アリスは急に真剣な顔で、ラミアを見つめる。
「…あなた……」
ラミアは思わず、スッとアリスの髪から手を離す。
「…私のフルネームがわからないなんて、貴族としては終わってるわね…」
アリスは煙が立ち込める天井を見上げながら、ラミアに告げた。
「……ゲームオーバーね……」