ブラッディ アリス
「………」
アリスの問いかけに、無言で顔を俯けるザリチェ。
「やっぱり、なんだかんだ言って…自分の一族が大事なのよね…」
アリスはそう言いながら、ラビの首に口付けをする。
それを合図に、ラビはゆっくりと前へ動き出した。
「…アリス様……ドクター・ラマツは…血液を持って、すでに施設内から出ていました…。……地下は燃やさずに、残してあります…」
アリスとラビが横を通り過ぎる瞬間、ザリチェは悲しげな表情で答えた。
「……そう……ありがとう…。…見つけたら、始末しとくわ。…だから…心配しないで……」
アリスはにっこりと微笑み、二人に対して小さく手を振った。
……ゴォォォォ……バキ…バキバキバキ……
その直後、邸内には完全に炎が広がり、アリスとラビは間一髪で庭へと出ることができた。
庭にはすでにジャックの姿は無く、二人に駆け寄ったカイルは「何もできなかった」と悔しそうに呟いた。
地面に寝ているクロウとファルコンを、じっと見つめているオウル…。
アリスはそっとオウルに近づき、声をかける。
「………ロビンと…カナリィは……もしかして……」