ブラッディ アリス






「あなたはまず、この部屋にある全ての書物に目を通し、全ての内容を覚えて」




ラビを執事に迎えてから、数時間後…。

一通りの手続きを終えた後、アリスが案内したのは…アベル家や貴族界の歴史の書物が置いてある小さな書斎だった。


「…掃除とか…ではなく?」


ラビはきょとんとした顔で、アリスを見つめる。



「アベル家当主専属執事になるということは、完璧な知識がないとダメ。…それなりに学んではきてるでしょうけれど、常に目指すは120%よ」

アリスは大きな窓のカーテンを開く。


「……さすがですね…。……アリス様…」


アリスは思い切り窓を開け、部屋に風を通し、ラビの方を振り向いた。



「当然よ。…そういう教育を受けてきたの…」



そんなアリスの言葉に、フッと笑みを浮かべるラビ。




「承知いたしました。読破いたしましょう……あなた様のために…」





このときから二人は、なんとも言えない心地よさを感じていた。


唯一無二のパートナーとして…。



初めて会ったとは、思えないほどに。













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