ブラッディ アリス




……コン…コン……



「…失礼いたしますわ……ラビッ…ト……?」


その夜、ナナリは静かに書斎を訪ねた。



「……あ……ナナリ様……いかがなさいました?」

書物を持ちながら、振り返るラビ。


「…しょ…食事をお持ちしましたの…。…アリスは出かけていて……あの…」

ナナリはテーブルに夕食を置くと、ソファーに腰かけるラビをじっと見つめた。


…ガタンッ…!

「…申し訳ございません…。…夕食の支度など…私のやるべきことなのに…!」

ラビは書物をテーブルに置き、慌てて立ち上がる。


「気にしないでっ…!……ずっと読書をするのも疲れますでしょう?……少しお休みになって…」

ナナリは顔を真っ赤にしながら、ラビから目を逸らした。


「……ありがとうございます…。…いただきます……」

ラビも少し顔を赤くして、静かに座りなおす。


「…ラビット……あの…お伺いしたいことがございますの…」

ナナリはラビの向かいのソファーにちょこんと腰かけると、蒼い瞳を見開いてラビに問いかけた。


「…な……なんでしょう…?…」





< 559 / 657 >

この作品をシェア

pagetop