ブラッディ アリス
……コン…コン……
「…失礼いたしますわ……ラビッ…ト……?」
その夜、ナナリは静かに書斎を訪ねた。
「……あ……ナナリ様……いかがなさいました?」
書物を持ちながら、振り返るラビ。
「…しょ…食事をお持ちしましたの…。…アリスは出かけていて……あの…」
ナナリはテーブルに夕食を置くと、ソファーに腰かけるラビをじっと見つめた。
…ガタンッ…!
「…申し訳ございません…。…夕食の支度など…私のやるべきことなのに…!」
ラビは書物をテーブルに置き、慌てて立ち上がる。
「気にしないでっ…!……ずっと読書をするのも疲れますでしょう?……少しお休みになって…」
ナナリは顔を真っ赤にしながら、ラビから目を逸らした。
「……ありがとうございます…。…いただきます……」
ラビも少し顔を赤くして、静かに座りなおす。
「…ラビット……あの…お伺いしたいことがございますの…」
ナナリはラビの向かいのソファーにちょこんと腰かけると、蒼い瞳を見開いてラビに問いかけた。
「…な……なんでしょう…?…」