ブラッディ アリス
見つめ合うラビとナナリ…。
「……以前…お会いしませんでしたか…?……あの…三年前の…コンサートのときに…」
ナナリはゆっくりと唇を動かし、ラビから目線をずらしていく。
「…三年前…?……いや……そんな記憶は…」
ラビはそう言いながら、ナナリの用意してくれたお茶を飲む。
「…わ…私……そのコンサートの期間……ある男性とお付き合いしてましたの…。…ほんの一週間でしたが…彼は私を愛してくれて……でも…コンサートが終わると…彼とは連絡がつかなくなってしまって…」
ナナリは恥ずかしそうに顔を伏せ、両手を合わせ膝の上でぎゅうっと握った。
「…その方を…今でも忘れられません……。彼は…銀色の短髪に……赤い瞳をしていました…」
そんなナナリの言葉を聞いたラビは、ニヤリと微笑みを浮かべる。
「…申し訳ないですが…記憶はございません…。……ですが…私はもともと記憶障害があります…」
そしてラビはゆっくりと、ナナリの用意した食事を口へと運ぶ。
「……よろしければ今夜……体で確かめてみますか…?…」
「…え…?……それは…」
ラビの瞳に映る…ナナリの驚いた表情…。
「抱いてみれば、何か思い出すかもしれません」