ブラッディ アリス
「……だ…めです…。…腕が治ったらと…言ったでしょう?」
少女の瞳に引き込まれる寸前で、兎は理性をなんとか保っていた。
「…今がいいわ…」
「駄目です。傷が残らないように、安静になさってください」
ラビはスッと立ち上がると、ため息をつきながら窓際へ向かう。
「……なんなのよ…」
アリスは不満そうに呟き、再び体を右側へと向ける。
「…何がしたいのよ…」
「………」
ラビは窓を開けた後、黙ったまま外を眺めていた。
…ピチチチチ…と、鳥の囀りが響く…。
心地よい風がフワリとカーテンを揺らし、それに続きラビの長い銀髪もわずかに靡いている。
室内に入るそよ風が、アリスの鼻にラビの微かな香りを運ぶ。
「……あなた…昨日……『気がついたら執事専門の養成施設にいた』って言ってたけど…、それって…クリスタル・アンのことよね?」
少しの沈黙の後、アリスが口を開いた。
「……昨日渡した…従者協会からの書類に、クリスタル・アン出身と記載されているはずですが……」
ラビはそう答えながら、ゆっくりとベッドに近づく…。
「それが、何か?」