ブラッディ アリス
ラビの影が、寝ているアリスを覆う。
「……あなたはまともな執事じゃないわ…。医師免許…普通の執事は持ってない…。それに…アサシンと同等の経験値?……クリスタル・アンや…グレイス・ドゥ・シードにいたって…そんな経験…つめないもの…」
この世界には、二つの従者養成施設がある。
一つは、ハイクラスの執事専門養成施設『クリスタル・アン』。
二つ目は、メイドや召使い、低級の執事を養成する施設『グレイス・ドゥ・シード』。
しかし、世界のどこかには、裏で動くための従者やスパイ、殺し屋を養成するもう一つの非公開従者施設が存在するという…。
「…本当は……サタン・トロワ…に……いたわね…?」
アリスはぎゅっとブランケットを握り締める。
「……さすがです。おっしゃるとおりですよ。……アリス嬢…」
……アリス…『嬢』……。
「…誰かの差し金で……私を殺しに来たの…?」
「…どうでしょう?…」
耳元で囁かれた、少し笑っているような低い声。
…このまま…この場で殺されても…不思議じゃない…。
「……だと…したら…どうなさいますか…?」
兎の唇が少女の耳に触れ、そのまま首筋へと降りていく。