ブラッディ アリス
「………」
アリスの心臓がドクンドクンと音を立てる。
…ラビットについての書類は、まだ提出していない…。
知ってるのは、カイルだけ…。
…でも…王族と貴族は、お互いの事件性の問題には関わってはいけないことになっている…。
……だから…何かあっても……。
「私は、サタン・トロワの登録を抜けて、クリスタル・アンに登録し直しました。…ですから、クリスタル・アン出身なのは本当ですよ」
気がつけばラビの唇はアリスから離れ、背後のベッドの端にズシリと何かが乗った音がした。
「……」
恐る恐る頭だけを動かし、後ろを確認するアリス…。
長い銀髪が目の前に現れ、ベッドにラビが腰掛けたのだとわかった。
「本当は…私からリナリア様に懇願したのです。…アリス様の執事に雇っていただきたいと…」
「…私…の…?」
「……生前リナリア様は…あまりあなたをメディアに出したがらなかったみたいですね。…テレビや新聞では、コンサート等で活躍するナナリ様しか拝見したことがありません…」
「…そう…かもね…」
「……そんなアリス様が、一度だけメディアに注目される機会があった…」
アリス自身、記憶に強く残っている光景を思い返した。
大勢の人…たくさんのフラッシュの中、世界にその名を知らしめた…あの日…。