ブラッディ アリス
「…アベル家次期当主…正式発表会見…。…4年前かしら…」
「……そうです…。…あの日……スクリーン越しに見た…あなたは…美しく、華麗で…聡明で…」
「…何言ってるの…?…あのときは12歳よ…。大げさ…」
アリスは呆れたように言いながら、体をゆっくり仰向けにする。
「……一緒にそれを見ていた従者仲間たちが…全員あなたに見惚れてましたよ」
「………ふーん…」
「私も、あなたに従って生きたいと思った。…だから、リナリア様に願い出ました…」
照れくさそうに微笑むラビ。
しかしアリスは冷めた表情で天井を見つめたまま…。
「…信じてもらえませんか?……ですが、これは事実です。…リナリア様には断られました。一応、施設では成績トップで…自信もあったのですが…」
「……あの人が、私に執事を就けたことは無いわ。…それに、志願してくる執事なんて怪しすぎ…」
アリスの言葉に、ラビはフッと鼻で笑った。
「…そうですね…。…どうやら…その後…リナリア様は、私の事をお調べになったようです…。そして、わざわざ私に面会したいと言ってきた……」
「…母様…から?」
二人は同時に目を合わせる。
「…私がサタン・トロワにいたことを知り、いろいろと質問されましたよ…」