ブラッディ アリス
「まぁいいや♪…さあ…ゲームを始めないと…。人間で遊ぶのは楽しいんだよ♪早く始めよう!」
兎はアリスの手を引き、歩き始める。
「…苦しむ顔、痛がる顔、命を乞う顔……今までは写真や映像の中だけだったけど…これから見るのは本物だ…。…ちゃんと七人殺せるかな?…でもその代償に、君は美徳を奪われる…。それでも良いの?」
「かまわない…。…手は打ってある…」
真っ直ぐ前を見つめるアリスを、しばらく黙って眺めながら兎はだんだんと速度を上げた。
「そうだったね♪…それは誰にも言ってないね♪…」
目の前がだんだんと明るくなっていく…。
「…じゃあ…始めましょうか…」
「…え?」
靡く金髪……毎日鏡で見ている顔…。
兎がいつの間にか、アリスの姿に変わっている。
「…全部終われば、また会える…」
私は黒い服を着て、あなたはあのお気に入りの服を着ていた。
この黒は戒めの色。
闇にのまれても、自分で自分がわかるように。
…また…あの服を着れる日が来るだろうか…。
お母様が「好き」と言ってくれた…あのドレスワンピース…。
空の青と、海の青を重ねた…あの服を…。