ブラッディ アリス
「…こ…ん…やく…?」
アリスは目を丸くして、カイルの元へと駆け戻る。
「…誰と…?!………貴族……?」
「……サンドリヨン…だよ…」
「サン…!?………シンデレラ…ラッセルゲナ…?…」
「そうそう…。…びっくりだよね…」
カイルはハハッと乾いた笑いを残し、呆然と立ち尽くすアリスの横をすり抜けた。
「…ハハ…じゃないわよ…」
アリスはカイルの後を追い、一緒にダイニングルームへと入っていく。
「……怒った?アリス…。自分の知らないところで、貴族関係の話が決まっていたこと…」
「…いえ……まだ私は当主に就任したばかり…。…アリエス王にとって…『アリス嬢』のまま変わってないことはわかってる…。…だから……でも…」
二人は広いテーブルの端に、自然と向かい合って腰掛けた。
「…よりによって…ラッセルゲナ…?…しかもサンドリヨン…?」
「……お金がさ、必要なんだと思うよ。あの家には…」
「それだけじゃないとは思うけど…。まぁ金目当てなのは確かかしら…」
「…まぁ、あれだよ。……国にとっての汚物をまとめちゃえば、少しはキレイに見えるから…じゃない?」