恋心
教室に戻ると翠はぼんやりと外を見ていた

私は何事もなかったかのように自分の席に座った…つもりだったけど、どうしても変な空気になってしまう

翠は私が席に座るとこっちを向き

「タケと何話した?」

と小声で聞いてきた。私はビックリした。何で野田くんと話したの知ってんだろ…

「タケが図書室入って行くの見えたから」

そう言って窓の外を指差した

私はゆっくりと翠が指差した方を見ると図書室の入り口がはっきり見えていた


私は机に横向きに伏せ話し出した

今図書室であった全ての事を

美由紀さんが声をかけてくれた事、相談にのるよとアドレスを教えてくれた事、野田くんに言われた事、野田くんに言った事、そして野田くんの手を振り払った事…

翠は何も言わなかった。ただ黙って頷くだけだった


話終わると翠が何も言わずハンカチを差し出した…

ふと翠を見ると、翠は何も言わず自分の指を目に当てて『涙』とジェスチャーした

私はそれまで気付かなかった…慌ててハンカチで涙をぬぐった

何でだろ…何で涙が出たんだろ…この涙の訳は何なの?
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