偽りロマンチカ
廊下を走るスピードを上げる度に焦りも増えていく。
自分の教室に戻り、朱里の席を見れば
既にそこには朱里のバッグはなくなっていた。
「くそっ…」
やっぱりさっきのアレは朱里だったのか。
自分のスクバを急いで持ち、下駄箱へと向かおうと足を進めようとしたが、渡り廊下を歩く人物に目が止まる。
それは紛れもなく朱里で。
急いで階段を一段飛びで下りていき2階の渡り廊下まで走っていく。
後ろからの足音に気付いたのか、体をゆっくりとこちらの方に向ける朱里。
「航平…」
「…っ…はぁ…朱里…」
「…ごめんね……」
いきなり謝った朱里に俺の頭の上には[?]が並ぶ。
は…?
何で朱里が謝るワケ?
「あか「あたしね、最低なやつなんだ」
朱里は俺を真っ直ぐ見て、そう言った。
俺は朱里の言ってる意味が分からなくて、ただ耳を傾けることしか出来なかった。