粉雪


この人と居ると...

なごむ。


彼の笑顔を見ると心が躍る。

彼の全てが欲しい。




--独占欲の強いあたしは、話しているうちにいつしかそう思う様になっていた。


彼が笑うたびに心臓が飛び出して、

彼があたしの机に何気なく触れたら
そこをいつまでも撫でる。


あたしはもう彼の事が好きになっていた。


こんな短時間で人を好きにさせるなんて、
大塚君、すごいよ...。



気付いたらいつの間にか休み時間になっていて、
大塚君は隣の席にいなかった。


目の前にいるのは---



モヤシ一本。




にやにやしながらあたしを振り返って見てくる。



めっちゃきもい。



-ほら、また振り返った。


「ちょっと!何何回も振り返ってみてんのよぉ!きもいんですけど!?」

ちょっと机の上に身を乗り出してモヤシの顔を後ろから覗き込む。


するとソイツは振り向き、
「お前大塚に惚れたんやろ??」

と二ヤけながら言う。






「は?モヤシにそんなん関係ありますか?」

「え!?おまっ..否定しないんかよ!」
驚いたように目を大きく見開く。


「うん。しない。」


「...まじかよー...ってかモヤシってなんやねん...」


何故か頭を抱えながら悩んでいるご様子。




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