トラックで輝く君を
移動したテラスで、俺たちは佐藤さんが作ってくれた弁当をかこんだ。

合宿の時にも思ったけど、
佐藤さんの料理は全部美味しい。





「佐藤って、料理得意なの?」



「ん-…得意って言うか、好きだからよくやるよ。」



「どれを食べても美味しいよ。」



「本当に?拓馬は褒め上手なんだから。何も出ないよ?」



「あら、私もそう思うけど?」





本当に。
スッゴク美味しいんだ。


褒め上手とかじゃなくて、思ったことをそのまま言っただけ。


今までなら、それは普通に出来てたことなのに…最近は意識しちゃって、なんかダメなんだけど。







その後、お弁当を食べてから、佐藤さんと涼平はもう一周だけ水族館を見て回り、お土産を買って帰った。





水族館の生き物には癒されたし、佐藤さんが作ってくれたお弁当も美味しくて、話も盛り上がったけど

俺的には、佐藤さんと涼平の仲を改めて知らされた感じだった。



きっと、俺は諦める。

……そんな気がした。





「じゃあね、拓馬。
またみんなで遊ぼうね!」



「そうだね。じゃ、気を付けて。」 





俺は、上機嫌で夕焼けに染まる街に消える佐藤さんの後ろ姿を、必死に目に焼き付けて帰った。




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