トラックで輝く君を

県大会 side Kento

俺たち短距離は、もうすぐ今シーズンを終える。

長距離ももちろんだが、マラソン大会や駅伝大会があるから、タータンを走らないってだけで、大会はある。



それに対して、短距離はオフシーズンに入ると大会が約5ヶ月の間なくなってしまう。

その時期に、いかに自分のモチベーションを上げてトレーニングをするかが、今後の鍵を握る。



2月、3月になってから焦ってももう遅すぎるんだ。





でも、実際にはモチベーションを高く維持し続けるのは至難の技でもある。





だから、いかにシーズンが終わる前に最高の記録を出すかに俺はかけて新人戦に挑んだ。





結果、俺はベストを出して、県大会出場の切符を手にした。


その他に、涼平と田尾さん、石川さんが県大会に出れるだけの記録を出した。





「緊張してます?」





県大会の日

電車の中で蜜菜に言われた。





「いや、大丈夫。」





そう言ったけど、実際には緊張で貧血でも起こしそうだった。


春の大会でも、県大会には出場した。

けど、あの時はまだ先輩たちが一番の主役、しかも引退の大会で、あんまり俺は出たくて手にした県大会ふの切符じゃなかった。



だけど、今は違う。

上に遠慮するよな人はいない。





もう、俺たちは陸上を一年続けられない。


否応なしに引退は迫る。





そう考えたら、緊張しないわけがなかった。





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