トラックで輝く君を

戸惑い side Ryohei

俺は、かなり動揺した。

拓馬が





「俺、佐藤さんのこと好きで…だから伝えたんだ。」





と、すました顔して、俺に報告してきたからだ。





んなすまして言うなよ!

俺を動揺させるんじゃね-!





その日、…俺は練習どころじゃなかった。

拓馬にまんまとハメられたのか、まったく集中出来ない。



正月は自主練サボったし。





「佐藤さん、ジャージ取って。」



「ほいよ。ファイトね!」





しかも、二人ともそんな素振りは少しも見せない。
いつも通りすぎて、無関係のはずの俺がテンパっている。

俺……バカ?





「…涼ちゃん?」





うわっ!!!

…ビックリした。
佐藤、顔近いっつ-の。
なんだこの余裕のなさ!





「あ、うん、何?」



「短距離、30分ジョグ。
…みんな待ってるよ?」





…どんだけ余裕ないんだ。

あぁ、もう、自分が嫌だ。





「…うっす。」



「大丈夫なの?」



「おぅ、心配いらね。
正月明けだから本調子じゃねぇだけだから。ジョグで目ぇ覚ましてくるわ。」



「ファイト!」





佐藤の「ファイト」には力がある。





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