トラックで輝く君を
「健人、湿っぽいの似合わないから止めたほうがいいぞ。」



…だから、後藤先輩はなんでそんなに刺々しい発言ばかりするんだろうか。

ちょっぴりしんみりした自分がアホらしくなる。





「じゃあ、正樹は圭先輩のいない陸上部とか考えられるのか?…俺はなんか無理だな。」



「かゆ!そんなこと考える暇があるなら、今日の記録のことでも考えろ。しんみりしたからって先輩らの記録は伸びないし、今からつまんねーよ。俺は、先輩らには頼らない自分たちの代を作れるの楽しみだしな。」





…たまには良いことも言える口みたいだ。

ちょっと感動したよ。





健人先輩も、そうだなって言って窓の外を眺めた。





駅に着いて、少し歩いた場所に競技場はドーンとあった。

どこの学校も、この大会は3年生最後なだけあって人も多くて独特の雰囲気を感じた。



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