【完全版】HIDE&SEEK-心と心のかくれんぼ-

「は…なせよ。」



私は精一杯の力で抵抗してみる。



でも、右手首の自由は奪われていたし、もう一方は勇将先輩の左手が私の顔の横に手をついていて、逃げ道がない。



「気良、どうしてん…？」



勇将先輩が切なげな顔をして私に聞く。



「なんもないって言ってるじゃないっすか。」



私は苛々して、勇将先輩をおもいっきり睨んだ。



睨んだ先の勇将先輩の目は、優しい光を失った漆黒だ。



と思っているうちに、勇将先輩は私に強引なキスを落としてきた。



今までの優しさは微塵も感じない力。



強引なキスは苦しくて、空気を求めて口を開くと、生暖かい物が侵入してきた。