ベンジャミンの窓辺で
5つ離れた姉の影響で、物心ついたころからピアノはあたしの近くにあった。

ご飯を食べたり、お風呂に入ったり、睡眠をとったり、、、

そんな当たり前のようなことと同じように、習慣的にピアノと触れ合う毎日。

ピアノはあたしにとって、しゃべらない友達のようなものだった。


そんなこんなで、小学校を卒業するころには様々なコンクールで優勝するという快挙を何度も達成。

新聞に天才ピアニストとまで記載されたことまであったくらい。


でも、それはあたしにしてみたら何の誇りでも無かった。

ただ弾けと言われたから、弾く。

思うがままに。感じたままに。

ショパン
ベートーベン
モーツァルト
シューベルト
バッハ、、、

そんなの関係ない。

あたしが弾いている時はあたしの曲なんだから。

あたしの中の一部になって、それを指先からいっぱいに放出する感覚。









異変を感じたのは、高校2年の冬だった。










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