オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】



親父はもともとは古本屋の店員をしていたほどの本好きなせいか、コレに関しては少々大げさな程の関心を示す。


本は、親父と現実世界を結びつける唯一の媒体と言ってもいい。

だからある意味、1日中本に囲まれた生活をする今が、いちばん親父には健全なのかもしれない。

一度本に興味を示すと、後は数時間ばかり人並みの反応をするようになるから、俺はその間に必要な事を済ませる。


「親父、年末年始はどうするんだ?書店はとりあえず休業なんだろ?」


「そうだな~やっぱり本に埋もれて過ごすか」


「年賀状はどうするんだ?取引先位には出さないと失礼になるだろ?」


「ん~?そっか?そんなら印刷済みのやつを買ってきて、お前がちょいちょいと宛先書いて投函しといてくれ」


まったく、これだからな。


俺は仕方なくその後年賀状を買いに行き、その晩に全部書き上げて投函しに行った。

まあ、俺の親しいやつはマモル位だが、やつには数百枚の賀状が届くから、俺のが多少遅れても気にならないだろう。

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