オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




年末も押し迫った12月31日。


その日は前日から降り始めた雪が、朝にはかなり積もっていた。



親父は店を閉めた後言ったとおりに、読書三昧の悠々自適な過ごし方をしている。

自室の本の山に埋もれながら、この1年間収集した書物をひたすら読みあさっているのだ。


だからといって、少なくとも飯を食わなければ死ぬ。


風呂も入らせ、洗濯もしなければならない。


親父はハッキリ言えば、人並みの生活能力がない。


洗濯ひとつまともに出来ず、俺が小さい頃はクリーニングに全て出していた程で、食事は仕出し屋の弁当か出前が当たり前。


だから、俺は成長するに従い、家のことは全てこなすようになった。


そうしなければ生活していけなかったから。



「親父、今日の年越しそばどうする?」


日課のロードワークに出ようと、靴を履きながら怒鳴りつけるように俺が一階から訊けば。


「めんどくさいから、いつものでいい。私は緑のたぬきでいいからな~」

なんて答えが返ってくるのはとっくに判ってた。


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