オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
いくら一高行って頭がよくて将来性は確かでも、肝心の中身と外見がアレじゃあパスだわ。


あたしはジュースの缶を捨てようと木の椅子から立ち上がった時、どうしてか足がガクガクと震えて力が入らない。


まともに立ち上がれなくてその場でよろめき、クレーンゲームの角にぶつかりそうになった――


手を突っ張ったあたしの体を待っていたのは痛みでなく、柔らかい衝撃だった。


一瞬の事だからあたしは何が何だか解らなかったけれど、数秒経ってからやっと現状を理解できた。


誰かが助けてくれたんだ。


ホッと息を着いたあたしは、目を瞑ったまま小さくお礼を言った。


「ありがとうございます」


もういいですから離してください、という意味も込めて言ったのだけれど。

どうしてか相手はあたしの背に回した手を緩ませる気配すら見せない。


「あの!ありがとうございます!もう大丈夫ですから……」


もしかしたら聞こえなかったのかもしれない。


そう思ったあたしは、チカたちに挨拶するくらいの大きさの声でそう言ってみた。
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