オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
ユリはおすすめパスタセットだったけど、あたしは食欲がないなぁ……。
やっぱりきつねうどんにしようかな。
それなら食券がまだあったはずだし。
あたしは財布のカード入れにある食券の綴りを出そうとして、手が滑って落としたのだけれど。
その拍子に食券の間から小さな紙片が見えたから、何かと思って広げようとしたら。
後ろに並んでいた男子に急かされてから自分の番だって気付き、慌てて食券を千切ると受付のおばちゃんに渡した。
残りの半券と引き換えに受け取り口でうどんを受け取ると、急いでユリのいるテーブルに戻った。
ユリは律儀にあたしが来るまでパスタには手を着けず、あたしがトレーを置いてからやっと食べ始めた。
「キャン、それだけ?食欲ないの?」
「う……うん」
気持ちいいくらい勢いよく平らげるユリの健康的な食べっぷりとは対照的に、あたしはうどんの麺もほとんど食べられなくて、ワカメとあげをもそもそと口にするだけ。
ユリの言うとおり、今のあたしは全然食欲なんてない。