オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
「今日のお弁当はケンの好きな豆腐ハンバーグだから」
そのコはそう言いながらケンに追い付くと、これ見よがしに彼と腕を組んで階段を上がっていった。
あたしは目の前で繰り広げられた出来事が直ぐに信じられなくて。
「なに……今の……」
思わず馬鹿な声を出しちゃった。
ユリは掴んでたあたしの腕を放すと、大きくため息を着いて目線で先に行こうと促した。
「こんなところで立ち話すんのもマヌケだからさ、行こうよ」
学食はまだ席が十分に空いてたから、あたしとユリは2人掛けでいちばん隅の通称“密談室”と言われるテーブルをゲットできた。
広い学食の中でぽつんと離れたそのテーブルは、柱や観葉植物やカーテンが障害になっていて、2人で語らうには絶好の場所。
よくカップルが使うのは言うまでもなくて。
たまに先生が生徒に話をしたり注意する時にも使われるけど、先に取った人に優先権がある。
そのテーブルを確保できたあたしたちは先にユリがお昼ご飯を買いに行き、ユリが戻ってから今度はあたしが買いに並んだ。