オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】



「今日のお弁当はケンの好きな豆腐ハンバーグだから」


そのコはそう言いながらケンに追い付くと、これ見よがしに彼と腕を組んで階段を上がっていった。


あたしは目の前で繰り広げられた出来事が直ぐに信じられなくて。


「なに……今の……」


思わず馬鹿な声を出しちゃった。


ユリは掴んでたあたしの腕を放すと、大きくため息を着いて目線で先に行こうと促した。


「こんなところで立ち話すんのもマヌケだからさ、行こうよ」




学食はまだ席が十分に空いてたから、あたしとユリは2人掛けでいちばん隅の通称“密談室”と言われるテーブルをゲットできた。


広い学食の中でぽつんと離れたそのテーブルは、柱や観葉植物やカーテンが障害になっていて、2人で語らうには絶好の場所。


よくカップルが使うのは言うまでもなくて。
たまに先生が生徒に話をしたり注意する時にも使われるけど、先に取った人に優先権がある。


そのテーブルを確保できたあたしたちは先にユリがお昼ご飯を買いに行き、ユリが戻ってから今度はあたしが買いに並んだ。


< 287 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop