オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
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アプレクターじいちゃんも、だてに500年も生きてた訳じゃないんだ。
《だてにとは何じゃ、だてにとは。
じゃが、わしも噂には聴いておったが、実際に見るのは初めてじゃ。
なんと凶々しき空気を纏うておることか》
「対処法はないの?」
あたしが訊いてみても、アプレクターじいちゃんは首を横に振るばかり。
「渚さん、ちょっと気になることがあるんだけど」
アプレクターじいちゃんの『声』はあたしにしか聴こえないから、今の今まで黙っていたマモル君が口を挟んでくるとは思わなかった。
「気になる事って?」
対処法を考えるので頭がいっぱいのあたしは、気のない声で訊ねてみた。
マモル君はレインボーハイツの一角を指さすと、それをゆっくりと動かしてある場所を示して見せた。
「俺の気のせいかもしれないけど……あの台地を越えたあたりから、あの部屋に向かって何かがやって来てるような気がしてならないんだ。
そこを見ただけでなんだか寒気が強くなるから」