オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】



あたしはマモル君が指摘した場所を、意識を集中しながら視てみた。


悪しき感情や悲嘆が心を締め付け、意識を乱れさせようと何重にも襲いくる。


でも、負けるわけにはいかない!


あたしは両手をギュッと強く握りしめ、奥歯を噛むと両足に力を込めて大地を踏みしめた。


息を整えるために、緑を意識して呼吸をする。


その最中だった。


《助けて》



小さな小さな声だったけれど、あたしには確かに聴こえたから。


あたしは思わずそのまま駆けだしてた。


なにも考えずに反射的な行動だったから、確かに無謀な行為だったに違いないよね。


《こりゃ!止まりなされ!!》


アプレクターじいちゃんの制止も耳に入らなかった。


あたしは自分の心を信じて、ひたすら突き進む。

確かにすごい圧迫感と力だった。


今まで対峙したどのアプレクターよりも凶暴で、悪意に満ち満ちている。


あたしがやっていることは、小さな子どもが溢れる寸前の濁流を渡ろうとするほど無謀かもしれない。


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