オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
あたしに助けを求めている存在がある。
こんなあたしでも必要とされるなら、何が何でも助けてあげたい。
あたしは襲いくるアプレクターを目力で退け一進一退の攻防を繰り返しながら、じりじりと進んでゆく。
背中といわず額と言わず、体中から滝のように汗が流れた。
緊張感を維持するのも、暴れまわる自分の力をつかみ続けるのも大変。
だけど。
あたしはやっとたどり着いた。
それは……
一階のベランダに置かれた、小さな鉢植え。
まだ固い蕾が多いけど、ほころび始めた紫色の小さな3つの花弁。
パンジーだった。
あたしはその鉢に腕を伸ばすと、夢中で抱き止めた。
後から後から来るアプレクターに今にも呑み込まれそうだった、儚げな1つの咲いた花。
その花は淡い光に包まれ、清らかな……
アプレクターじいちゃんの言う「善き存在」がいた。
あたしがもう少し遅れていたら、たぶんその小さな清らかさは呑み込まれ消滅して、悪しき存在となっちゃったと思う。