オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
今日は依頼人の遠井登さんのご実家を訪れる約束になっていたから、あたしは塞いだ心のまま探偵事務所でマモル君を待った。
「起きたらマモルお兄ちゃん家だったんだもん。びっくりしちゃった」
声変わり前の無邪気な声音で喋ったのは、博君が入った黒猫。
急遽用意されたのか、黒猫は昨日より立派なペット用のキャリーに入れられてた。
マモル君によれば、黒猫は家に連れて帰ってもしばらくは大騒ぎしていたけど。
静かになって寝入ったかと思えば、数分後には目を開けて博君の声で喋り二本足で歩いたみたい。
お腹が空いたというから猫缶を出せば見向きもせず、玉ねぎ抜きの薄味ハンバーグとナポリタンスパゲティをフォークで平らげたという。
「マモルお兄ちゃんのお家って広いんだね!いくら探検しても終わりがないんだもん」
博君黒猫のそのひとことで、マモル君がどれだけ苦労したか解るような気がして。
悪いとは思ったけど、あたしは思わず隠れて笑っちゃった。
それにしても、博君は寝ている間に茶虎の猫と戦い勝った。