オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】



登さんの秘書さんから直々に、その日は休みで大丈夫だからと確約を取り付けた筈なんだけど。


やっぱり一度依頼したけど妖しげと考え直したのかな?


それとも、重役として会社の急用か何かで?


不安げなあたしを見かねたのか、マモル君はあたしを元気づけようとして色んな話をしてくれた。



じりじりと待ち続けて21時手前になった頃。

やっと登さん御本人が姿を現してくれて、ホッとひと安心した。


……けど。


「遅くなりまして申し訳ない。
ちょっと先客がありまして」


そう詫びつつも、登さんの視線と顔つきはどこかおかしかった。


少なくとも、先日見せたこちらを信頼する目をしてない。


どちらかといえば、そう。


あたしたちが香具師とでもいいたげな、胡乱なものを眺める目つきだった。


人付き合いに鈍いあたしでさえそれに気づいたんだから、マモル君は余計に過敏に感じてるはず。


あたしはちらっと隣のマモル君を伺い見たけど。

さすがと言うべきか、彼は表情も落ち着いてむしろ堂々としてた。


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