オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




依頼人のおひとり、遠井登さんのご実家はやっぱり大きなお屋敷で。

昔栄えたギリシャ風のデザインを施された白磁色の、とっても美しい建物。

正面には湖と見紛う白鳥が浮かぶ池も造られ、庭には本格的なヨーロッパ式のガーデンもあって。

やっぱり各界で活躍するご家族のご実家に相応しい、華やかさと立派さが揃ってた。


でも。


昨日のうちにあたしは遠井家に訪問を伝えておいたんだけど。


取り次いでくれたお屋敷の人から、なぜか胡乱なものを見るような視線を感じたから。


あたしはこう思った。


(やっぱり探偵なんて、上流の方から見れば胡散臭い人間と思われるのかな)


実際は探偵なんかじゃなくて、もっと妖しげな職業なんだけどね。


だけど。


あたしたちが胡散臭い目で見られたのは、使用人の人たちからだけじゃなく、依頼人の登さんからまでもだった。


客間の一つに通されたあたしとマモル君と博君猫は、だいぶ待たされた。

約束は19時と確かに電話で確認しておいたんだけど、20時になっても登さんは現れない。


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