オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
でもまさか。
その途中で会えるとは思わなかった。
まだ7時前だから薄暗かったけど、人の顔を見分けられるほどには夜が明けてたから。
その2人が目に付いたのは、そのカップルがこんなに朝も早くから仲睦まじく腕を組んでいたコトと、女性の派手かつ大胆なファッションにあったから。
男性の方はいかにも遊び人風の、ピンクのシャツに深紫のブランドスーツというホスト顔負けのいでたち。
女性の方は白い肌を惜しげにも晒す、深いスリットが入ったスカートに肩と胸元が開いた紅いワンピース。
髪型も金色に染め上げて、さながら昔の少女マンガみたいな巻き毛をしてた。
あたしが馴染みのお店の駐車場を横切った時……
愉しげに話すそのカップルとすれ違ったのだけれど。
ふっと見えた女性の横顔と声は紛れもなく幼なじみのチカだった。
チカはメイクをしてもナチュラルな仕上げを得意としてた筈なのに、その顔は別人かと思うほど厚くこってりしたメイクだった。