オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
国道から右折して坂を上のぼってく。
小さな山に近い、まだまだ自然の残る小道。
緩やかなカーブを描く道なりに進むと、竹林と松林が見えてきて。
その間に埋もれるようにひっそりと建つ木造の平屋建てがユリの実家で、ユリのお母さんがやっている居酒屋さんだった。
岩を主役にしたこぢんまりとした庭があって、近くの小川から水を引き込んだ池と獅子脅しもある。
そしてポツンと一本だけある樹は、盛りが過ぎた紅梅の木だった。
《おお!松竹梅が揃っておるとは実にめでたい!これは幸先いい旅立ちになるぞよ!》
扇を広げながらかっかっかと笑うアプレクターじいちゃんはほっといて。
あたしとチカはタクシーを降りて直ぐに裏口に回った。
事前にチカがケータイで連絡をつけておいてくれたから、裏口には直ぐに亜美おばさんが現れて中に入れてくれた。
亜美おばさんは相変わらず若々しくてキレイだけど。
今度の騒動でやっぱり心労がこたえてるのか、何となくやつれて顔色もよくないし、いつもはキチンと結う髪もわずかにほつれてた。