オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
あたしはアプレクターじいちゃんに携帯電話と手紙を渡す。
「ここからが肝心なところなんだからしっかり」
《任せなされ。美しい愛を身分などで引き裂かせる訳にはゆかぬからの》
アプレクターじいちゃんはそう言うと、一瞬であたしの影から離れてぐんぐんと壁を伝い昇ってく。
やがて203号室の外壁にたどり着くと、すうっと吸い込まれるように消えた。
それから程なくして、男の子の悲鳴が聞こえてきた。
携帯電話と手紙がいきなり壁から現れたら、誰だって驚くのが普通だわ。
でも、それがまずかった。
警備員が2、3人寮の中に入っていったのを見たから。
《ちょっと~!よけいな注目を集めてどうすんの!》
あたしが心の中で叫べば、アプレクターじいちゃんの答えが直ぐに返ってきた。
《ふぉっふぉっふぉっ、案ずるでない。
今の悲鳴は順一どのではない。全く別のもの。
ちょいと敵を引きつけるために、上のなるべく遠い部屋に出て驚かせてやったんじゃ。
ちと気絶したが、まあいい目隠しにはなるじゃろ》