オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
秋の夕暮れは夏よりも綺麗だ、って誰かに聞いた事がある。


たしかに、雲一つない空にいろんな絵の具を溶かし込んだような、何とも言えない微妙な色彩はあたしも好きだった。


小さな窓枠から見える茜色の空を見上げながら、あたしはしみじみと思う。


っていいますか……


なんで15歳のうら若い乙女が、こんな場所で夕陽を見ながらしみじみとたそがれなきゃいけないんでしょうか?


それもこれも、今やってる仕事がひとつの原因だよね。


「おい、粒あんアタマ。記事の整理は終わったのか?」


……はい、いらっしゃってくれました。


諸悪の根源が。


今日も憎たらしいくらいにモデル顔負けの端正な顔立ちに、いかにもあたしを頭からバカにしたような笑みを張り付かせてるコイツ……


あたしの雇い主であり、この産土(うぶすな)探偵事務所の主でもある産土凪(うぶすな・なぎ)。


あたしと同じ高校一年なんだけど、ふとした出会いと不可解な事件で知り合い、あたしはなぜかコイツに雇われた。
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