オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
時給1万という高待遇に目をくらませれば……


なんだか、何もかもコイツの手の内に入れられちゃったような気がするのは、あたしの気のせいでしょうか?


まあ確かにコイツが選んだ国内でも屈指の医療を誇る私立病院に入れたお陰で、お母さんの症状が少しずつ改善しているのも確かで……。


だからあたしは嬉しいと同時に複雑な気分だった。


なんだか、コイツによけいに恩を受けてるような気がして。


あの事件から1ヶ月経って秋も深まったけど、化け物を相手にするような事件はまだ起きてない。
あたしは主に雑用兼こいつ専用の家政婦と化していた。


いまあたしが終えたのは、雑誌や新聞なんかからある特定の記事を切り抜いてスクラップする作業。


あたしが直に座らされてる床には、うず高く積み上げられた雑誌や新聞の山がいくつもある。

あたしはここ一年ぶんのそれを半月ほど前から延々とやらされていて、ついさっきやっと終わったんだよね。


あたしはまとめ終えたスクラップブックを、ヤツの顔を見ないよう触れないよう渡す。
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